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野毛と言っても最近盛り上がってるらしい横浜の野毛町ではない。世田谷のはじっこ、多摩川近くの野毛。そこに楽ちん堂カフェという名前の場所がある。以前全く別の場所でこのカフェの持ち主の女性に出会った。それは事故のような出会いで全くの偶然だったのに、そのあと風をまとうようにコートの裾を翻してやってきた松葉杖の男性の印象と出会った女性のイメージが強烈で、忘れないまま数年が過ぎた。気になって検索してみたのだが、ケイタリングの写真やカフェらしいシーンのほかに、芝居の稽古やシルバー世代の記念写真など出てきてなんだかつかめない。では行ってみようというわけだ。

等々力駅を降り、10分ほど歩くと家がある。小さな看板が出ていて、「楽ちん堂カフェ」。でも、オープンでウェルカムな感じが無い。本当にカフェなんだろうか。ただの通りがかりだったらそのまま「あそこ、何だろう」と思ったまま過ぎてしまうところだが、遠くから目指してやってきたのだ。意を決して入ってみた。

夏も終わりだけれど、レモンのかき氷。香り高いレモンシロップ。掘って行ったら皮ごとのレモンが顔を出した。
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ごちそうさまでした。

入れ替わり立ち替わり、店員なのか馴染み客なのかわからないような人が接客してくれるし、奥にはちらりとこちらを見たきり本を読み続けている年かさの男性がいる。壁が大きな本棚になり、子どもの本から図鑑のようなもの、小説、雑多な、でも興味を惹かれるような本が並んでいる。

わたしが出会った女性が2階にいるという。待つことにして観察。子どもの声がする。しばらくして、記憶の中と同じ笑顔をした女性が現れた。昨日会ったばかりのように普通に話して、ちょっと待っててという。わたしも似たところがある。

結局わかったことは、子ども向けの学童支援、高齢者が仕事のできる仕組み、障害者の就労支援、いろんな人がそれぞれなりたい自分でいることを応援してくれるような場所らしい。

そして、古い知り合いがなんとここに居候しているらしく。

様々な縁が重なって、世の中はできている。ここはただのカフェじゃない。関わる一人一人が最大限に自分らしさを主張できるような場所だった。主張しすぎたらバシッと拒否される。拒否されるのは主張やできごとで、あくまで人は受け入れてくれる。正直で健全なコミュニティだと感じた。わたしの周りには少ないので、これからも観察予定。